勉強法に入る前に岳伸塾での、「暗記術」と「記憶術」の定義を明確にしておこうと思います。
人によって「暗記法」、「暗記術」、「記憶法」、「記憶術」など呼び方がそれぞれ違います。また、暗記術(法)と記憶術(法)の明確な基準がありませんので、著者の好きなように命名しているようです。
僕は何かを覚える方法は大きく2種類に分けられると考えています。その基準は「関連付け」があるかないかで区別します。この関連付けのことをリンクと呼んだり、「繋げる」とも表現したりします。
暗記術(法)は漢字からも分かるように暗記は「暗(やみくも)に記憶する」(当て字ですが・・・)と書きます。つまり、覚えたい情報を他の記憶と結びつけたり、整理したりせずに、その情報を単独で覚えるのです。
一方、記憶術はその反対です。他の記憶と結びつけたり、記憶を整理したり、音や連続性などとも関連付けして覚えていきます。
記憶の仕方が全く違うので、記憶の取り出し方が変わってきます。どちらで覚えるかによってメリットとデメリットも存在するため、名前で区別しないわけにはいきません。ですので、しっかりと違いを理解してください。「暗記術」で覚えるのか「記憶術」で覚える方が良いのか、それは臨機応変に判断できるようにならなければなりません。
例えば「九九」を例に挙げましょう。
「九九」は記憶術の代表格と言えるほど様々な関連付けが使われています。
後で一つずつ詳しく説明しますが「カテゴライズ」「順番に並べる」「音」「リズム(旋律)」という4つのリンクを使っているのです。
そのため、強力な記憶術になって忘れようと思っても、忘れることは出来ません。(反復の回数が少ない以外にリズムの悪い段は忘れることがあります。リズムの悪い段はリンクが弱くなるので。)
一生忘れない記憶術こそ、最高の勉強法だと思うかもしれませんが、それは違います。
まず第一により高度な記憶術であればあるほど、準備が必要になります。九九のような記憶術を全ての教科や分野で閃くことは不可能です。
さらに、記憶術には致命的な欠点も存在します。それは「覚える量」が増えること。そして、「反復の回数が減る」こと。「アウトプットの速度が落ちる」などが存在するからです。
そのため、これほど有名な九九ですが実は「九九」は記憶術を使ってはいけないのです。
計算速度の速い人は九九を介さずに問題を見ただけで答えが閃きます。つまりは暗記術の方法でアウトプットが行えているのです。
この点も踏まえて、次回から詳しく暗記術と記憶術のメリットとデメリットを学んでいきたいと思います。