(ここ最近の勉強法動画長くなって申し訳ないのですが、この考え方もとても重要なので、今日の「授業動画」をお休みしてでも必ず見るようにしてください。)
以前、暗記術の極意①で宇都出雅巳先生の「高速大量回転法」紹介しました。
また、スタディサプリの中3英語(応用)関先生の講義で「【特別講座】1ヶ月『1000単語』習得法」というものが紹介されています。また、「京大主席合格者が教える『やる気』と『集中力』が出る勉強法」著:粂原 圭太郎にも、同様の勉強法が紹介されています。
共通するのは、「大量回転」というキーワードです。
この勉強法がいかに大切であるかというのを理解してもらうために以下の疑問を考えながら説明していきたいと思います。(これはスタディサプリの関先生同様の質問です。)
「2ヶ月(夏休みを想定)で1000個の単語を覚えなければいけないとして、どのように暗記していくか?」
あなたならどのようにして、覚えるでしょうか?おそらく大きく分けて次の2種類に分けられるのではないでしょうか?
- 毎日20語ずつ何周も何周もアウトプットして、この小さな回転を徹底的に行う方法。20語×50日間=1000語
- 毎日200語ずつ数回アウトプットして、大きな回転を何日かに分けて行う方法。200語×5日×10回=1000語
どちらを選んだとしても、これを実行するのはかなりの意志力と根性が必要でしょう。しかし、どちらも最後まで成し遂げたとして考えてください。
①の勉強法が最もポピュラーな方法だと思います。このやり方こそ、まさに学校教育そのものと言っても過言ではありません。1000語覚えるなら、予定を立てて1日20語それをコツコツ覚えていきます。20語に分けると1000語も楽なように思えます。実際、20語しか覚えなくてもいいので1日1日に対してそれほどの苦労はしません。それもこの20語は1日でかなりの数を回転する事ができるでしょう。しかし、これでは問題があるのです。
「あなたは最初に暗記をした20語を2ヶ月後、覚えているでしょうか?」
人間の記憶は時間とともに薄れていくものです。最初に暗記した範囲は、1000語の暗記を達成した2ヵ月後には忘れている可能性が高いのです。そして、次の範囲の単語も、その次の範囲の単語も全く復習をしなければ忘れていってしまいます。1日で覚えると言う事は一夜漬けに近い勉強法だと考えてください。「記憶の性質② 長期記憶とエビングハウスの忘却曲線」でも説明した通り、記憶は時間を置いて反復をするべきなのです。これを分散学習の効果と言います。
一方で②の方法は・・・と言うと。説明する前から「それが出来れば苦労しないよ。絶対に無理。」だと思うかもしれません。しかし、時間を十分に使えば、200語の暗記は可能です。それでは、岳伸流の暗記術を利用するやり方で説明していきます。初日の200語でリタイアしてしまうかもしれませんが、この暗記法の場合、最初数日間の回転を乗り越えることが大切で、「完全な記憶でなくてもいい」ので全ての単語を最低5回はアウトプットしましょう。まずは、短期記憶を最大限に利用するために小さな回転からはじめ、徐々に大きくしていき200語のアウトプットを達成しましょう。5日後、また、同じ範囲を復習です。前回アウトプットするよりは随分、楽になっているはずです。エビングハウスの忘却曲線をもとに考えれば、再度、暗記に節約できる時間は2日目20%、3日目60%、4日目80%、5日目90%以上となっています。5日目の復習はほとんど再度暗記しなおす必要がなくなります。これは節約率だけで考えただけに過ぎません。当然、回転数が増えれば増えるほど速度も速くなっているはずです。日にちを追うごとにだんだん楽になっていくでしょう。
また、行動心理学の面から考えても、②のほうが良いと考えられます。
「よし、やるぞ!」と本当に気合を入れて臨んでも、毎日20語では、最初は簡単に乗り越えられるかもしれませんが、継続となるとなかなか難しいものです。それに比べて、②の方法は「20語と200語」ですから、初日の時点で決意の度合いがかなり違います。「よし、やるぞ!」と決意したモチベーションの高いうちに最も過酷な数日間を乗り越えてしまうことができます。また、1日に覚える単語数が多く達成感がまるで違うこと、最初の数日間を乗り越えればだんだん楽になっていくのを知っていることが、継続できる可能性を高めてくれるのです。200語もあれば回転途中で絶対に忘れる事はないと自信のある単語も出てくるでしょう。そういった単語は消していくと、さらに200語は楽になっていくはずです。
この暗記法は勉強法の本を大量に読んでいると分かりますが、多くの天才・秀才達が取り入れている方法です。これを何としてでも習得したいところですが、なかなか出来るものではありません。
この大量回転で一気に覚えてしまう方法は、スタサプでも紹介されていましたが、夏休みなどの長期休暇を利用するのが良いかもしれません。受験前で長期休暇が取れないのであれば、覚える単語を400語に減らして、土日に200語を気合でアウトプットして一気に覚えてしまうのもありでしょう。これを行う前に、やはり「絶対にやり遂げる」という強い決意と何点かポイントがあるので、押さえておいて下さい。
まず1つ目は「これしかやらない」というもう一つの決意です。成功率を上げるために、他の事は一切しないこと。単語を覚えるために全ての思考を「集中」させるようにしてください。他の教科のことなど一切考えない。これは記憶の性質の観点から言っても正しいことなのです。範囲を大きく広げて大量回転させていくことで適度の忘却(アウトプットの負荷)をさせることが出来ます。ですので、回転して速度が増しているときに、別の学習をし他の記憶をはさんで忘却させるのは賢い方法とはいえません。「これしかやらない」というのは回転数が上がり速度が増している状態を維持し、一気に大きく回転させるという意味で、決してやけくその方法ではなく、理に適った戦略なのです。
2つ目は、英単語なら英和(英語→日本語)のみ1000語。次の機会に和英(日本語→英語)をスペルなし発音のみ1000語。漢字なら読みのみ1000語。ここから始めることです。こうすることで、大量回転のハードルを一気に下げることが出来ます。これらの暗記は一切、書かなくても覚えることが出来ますので、頭の中だけでアウトプットし、超高速回転がしやすいのです。大量回転を行えば、毎日多くの単語のリンクを辿ることになり、徐々にリンクが強くなっていきます。ある程度、記憶の土台が出来上がってから、英単語のスペルや漢字の書き取り1000語に再度挑むのが良いでしょう。
英単語のスペルはそれほど試験で問われるものではありません。日本人でも漢字が書けない場合があるのと同じで英語圏もスペルが書けない場合があって当然です。それでも、生活にそれほど困ることはなくペラペラ会話をしているはずです。だからこそ、スペルの優先順位は最後です。超頻出のものをしっかり覚えていれば試験でそれほど問題になることはありません。大量に覚えるのは、超上級者の領域だと考えるべきです。それよりも、長文読解を速く正確に和訳できるスキルのほうを求められるケースが圧倒的に高いため英和(英語→日本語)の語彙力が絶対的に必要不可欠です。過去問をしっかり確認して傾向対策をしていれば、和英と英和にどれだけ比重を置くべきか分かると思います。
ここまでは単語を暗記するということで説明しましたが、この考え方は「一点突破勉強法」の考え方に近いものがあるのです。
数学の計算においてもインターリーブを使えば、小学6年間分、中学3年間分を1日で全て復習する事もそれほど苦労することなく出来る様になります。それから、倍速の教材を作ってしまえば、英語の文法の問題集を3年分を1日で全て復習することも出来るようになります。勉強法をしっかりと学び戦略的に効果的に、範囲を広げていく事は学習者にとって非常に大切な事です。
暗記術だけでなく、勉強は小さな回転から始まるものです。最初は何も分からないところから始め、少しずつ「疑問の種」を育ててそれはやがて大きくなっていきます。勉強に真剣に誠実に向き合い、超高速回転で回転させていけば、それは竜巻のごとく大きな旋風となり瞬く間に大量のリンクを辿れるようになっていくでしょう。
<もっと考察> 大量回転の勉強法はメジャーになっている!?
この記事の始めに紹介した「京大主席合格者が教える『やる気』と『集中力』が出る勉強法」には1ページめくるとすぐにこの大量回転の方法が書かれています。
勉強法には成績の上がる「やり方」がある!より抜粋
たとえば、英単語のテストがあるとします。あなたは十日後までに、百個の単語の意味を覚えなくてはいけません。あなたはこのとき、どちらの覚え方で単語を覚えますか?
- ①一日十個ずつ、完ぺきに覚えていく
- ②毎日百個を、大雑把に繰り返す
効率的に、良い点数をとれるのは②のやり方です。①のやり方では、一日十個ずつ完ぺきに覚えていっても、「復習」が足りないため数日後には忘れてしまう確立が高いでしょう。
しかし、毎日大雑把にでも百単語を繰り返していけばどうでしょうか。一つの単語につき、少なくとも十回は目を通しているはずです。記憶とは反復、「復習」の回数で強化されるため、②のほうが効率がいいんですね。
最近では②の覚え方がメジャーになってきているので、②を選択したほうが多かったかもしれません。・・・
メジャーになってきている?えっ・・・そうなのと思った瞬間でした。秀才たちの間では既に常識になりつつある方法なのかもしれません。この大量回転の勉強法をメインで取り上げている書籍も多く、それだけ効果の高い勉強法です。この記事では奥義とまで書いてあるのに、書籍の冒頭でサラッと紹介する程度。お恥ずかしい・・・。スタサプの関先生も【特別講座】としての枠で、大きくは取り上げていません。確かに、多くの書籍に同様の勉強法を目にします。しかし、あなたが知っているかどうかは関係なく、メジャーになってきているというのは今までの勉強法の常識を変えたということです。
常識を変えるほどの勉強法。簡単に流すことなく一度は真剣に取り入れてみてください。みなさんはこの勉強法を絶対に素通りしていかないでください。
ちなみに宇都出雅巳先生の「高速大量回転法」は大量回転こそ同じですが、暗記の最初の回転範囲が岳伸塾のものとは異なっています。実績も多く出している方法ですので、興味がある方は是非、一度、本を読んでみてください。